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伸びる子の親はここが違う

2023.10.13(金) 03:00

10月13日。土曜日の日大東北高校での講演資料が完成して担当の先生に送った。対象は保護者、それも高3生の保護者ということである。伸びる子の親はここが違うという話をということだが、こちらとしてはどういう子が合格するか、どういう子がA判定であっても落ちるのか、大学に入ってから何をしたほうがベターか、親には何ができるのかという話をすることになる。

受験生の保護者からよく聞かれる。何ができるんですか、と。答えは「なにもできません」しかない。よく、我が子を東大に何人入れた母親なんて言葉を耳にするが、そんなことを言っているのは日本だけであるし、そもそもその「我が子」は「僕はお母さんに東大に入れてもらったわけじゃない」とSNSで表明しているのだから皮肉なものである。再度書くが、親にも何もできない。

できるとすれば、何もしないで見ていることである。口出しする親の子どもが伸びないのは、日本中の教員なら誰もが実感しているはずだ。灘校で23年間勤務していたが、どの学年も「勉強のことは何も言わないんですぅ」という親の子どもがトップ層に来る。口出しする親の子どもがトップに君臨する確率はほぼゼロに近い。例外はほぼ無い。ま、そもそもそういうアホな親はあまり灘にはいなかったが。

とは言っても親にできることはゼロではない。ご自分の人生を楽しむことである。子どもが自分の親を見て、うちの親は自堕落でどうしようもないけれども英語だけは凄いなとか、うちの親は毎晩酒ばっかり飲んでいるけれどもパソコンを触らせたら天下一品だなとかといったケースが理想的なのである。

自分では大して勉強をしていないくせに「勉強しろ」と子どもには言うパターンが最悪で、子どもたちは腹の中で「お前もな」と思っているのである。要するに、日大東北高校ではそういう話を最後に持ってきて、保護者の皆さんも勉強を楽しんでくださいと申し上げる心算である。

木村達哉

追記
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