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Gakkenの本を書きながら

2023.11.13(月) 07:00

11月13日。今日からはしばらく沖縄。「キムタツ✕ひーぷーのオキナワ・ジモトーク」の収録が4本入っている以外は大きい用事もなく、執筆に専念できると思われる。すでにGakkenから来年出る予定の『3 Step 英語スピーキング①』は脱稿し、担当者に送ってある。現在はそのブック②を執筆中である。

ときに「キムタツ先生のように本を書いて生きていきたい」という方がいらっしゃるが、その方の人生のために「止めておいたほうがいいですよ」と申し上げることが多い。本を書いて生きていこうと思うと、仮に年間3冊ほど書いたとしても、それだけでは年収100万にもならないからだ。

私の場合、直近出した『あなたのちからになりたくて』はまだ1000部ほどしか売れていない。1冊60円ほどの印税を受け取るにしても、だいたいその程度。この本を創りたくて絵の専門学校に3年間通ったが、その授業料が100万以上かかっているところを考えるに、まったく元が取れないのである。

確かに『新ユメタン』は250万部ほど、『東大英語リスニング』は20万部ほど売れているらしいけれども、それがなければおそらくバイトに明け暮れる生活を送るか、またぞろどこかの学校に頭を下げて雇ってもらわねばならないだろう。

以前、知り合いの作家の本が映画になった。どの程度のおあしが入ってくるのか尋ねたところ、一銭も入ってこないよと、出版社にはそれなりに入るだろうけど、原作者には入ってこないもんなんだよと仰り、本当に驚いた。

じゃあなんのために書いているんですかと問う方もいらっしゃるだろうが、消えてしまうSNSとは違い、我々の本は絶版にならなければ消えないのである。買ってくださった方々の心の中でごそごそと蠢いているのである。その方の人生をも変えてしまうかもしれないのである。そして、私の死後も生き続けるのである。つまり、私たちは不死なのだ。

遠藤周作先生が生前、小説家なんて大説家になれない存在だとおっしゃっていた。私の本だって、今のところはひと様の人生を変えるほどのものではない。それでも、私の本を愛して下さる方々がいらっしゃるから、1文字1文字丁寧に、心を込めて朝から晩まで書いているのである。ひと様が寝ている間にもああでもないこうでもないと頭を絞りながら書いているのである。

Gakkenの本がどの程度皆さんに愛していただけるのかはわからないけれども、流れ作業的に書いているわけではないことを知っていただければ幸甚である。が、それにしても、私も本を書いて生きていきたいと思っておられる向きには、やめておいたほうがいいよと申し上げたい。

木村達哉

追記
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