12月10日。青森県弘前市で英語の先生方を対象とした指導法セミナーを行った。神奈川の聖光学院中学校高等学校の佐藤仁志先生が第一部、元灘中学校高等学校の私が第二部。進学校の教員と元教員の講演と聞くとしゃちほこばっているように思われるだろうが、実にフレンドリーなセミナーとなった。
佐藤先生は英文法とリーディングを切り口にして、ざっくりと言えば中学から高校初級レベルの基本を大切にしているかどうかが英語力向上の鍵だという話をされた。私は英語を話したり書いたりするための指導について話したが、結局は同じことを話した。基本を大切に。よく使われる言葉だが、正しく理解している生徒は少ないのではないか。
意外だと思われるかもしれないが、中学1年で教わる一般動詞の活用が正しく言えない生徒がかなり多い。それでは高校どころか中学2年以降、英語ができないのは当然である。九九を覚えない生徒が算数を得意にできないのと全く同じである。
無味乾燥な暗記には意味がないと言う人がいる。果たして「無味乾燥な暗記」など存在するのだろうか。あるとすれば、たとえば円周率の数字を覚えるといったようなことかもしれないが、それでも覚えないヒトにはわからない何かがあるのかもしれない。
まして、英単語や日本語単語を覚えることを嫌っている人に言語力の成長があるわけもなく、結局のところは覚えることさえできなければなんにもできないのである。また、英語や日本語のルール(文法や語法、文構造など)も、最初は九九ライクに覚えることが多い。動詞の活用がまさにそうである。
覚えた上での読み聞き書き話す活動であるから、基本を大切にというのはつまり「四の五の言わずに覚えろ!」ということである。ただ、それでも理解しながら覚えるほうが定着しやすいものだから、こちらとしては例文を用意したり問題を用意したりしながら覚えさせる。
生徒たちにはしっかりと覚えてもらいたい。大学に入ると受験勉強の何倍もの知識や情報を覚えなければならない。さもなくば議論もできない。何学部に進んでも覚えることばかりである。しっかりと「覚える体質=記憶体質」を身につけて、それぞれの人生を教養豊かに送ってほしい。
なお、同セミナーにはベネッセコーポレーションの方々が駆けつけてくださったので、東北の生徒たちの英語力について、興味深いプレゼンをしていただくことができた。ベネッセ東北支社の方々には心より感謝申し上げます。
木村達哉
追記
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