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北陸の受験生たちへのメッセージ

2024.01.02(火) 06:00

1月2日。能登の震災に続いて飛行機事故。2024年の幕開けは最悪のものとなった。まずは被害に遭われた方々に対し、お見舞い申し上げます。それと、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りいたします。まさか「おめでとう!」と言った日の夕方に命を落とすとは思っていなかっただろうに。

何を書こうかと一日考えたが、やはり受験生にむけてメッセージを書く。1995年のセンター試験終了後に阪神淡路大震災が起こった。受験生は言うまでもないが、学校の職員室がぐちゃぐちゃになり、どこに調査書があるのか、どこに公印があるのか、全くわからない状態だった。

ネットが普及していなかったので、そもそも生徒たちにどうやって連絡をとっていいのかもわからず、当時の担任の先生方は人海戦術をとるしかなかった。要するに、学校にやってきた少数の高3生徒たちに、大阪と神戸のホテルロビーで調査書を配付するから、口コミでできる限り広めてくれと伝えた。

世間では、これで東大は合格しやすくなったぞと言う教育関係者が多かった。西大和学園の職員室でも何人もの教師がそう言っていたのを私は聞いているし、予備校の営業マンたちもそう言っていた。東大は狙い目になりましたねと。笑顔を浮かべている教師たちもいた。

結果的に調査書は、驚くべきことだが、全員の手に渡った。今ならLINEなどで連絡をとることもできるだろうが、当時はそんなものはなく、そもそも携帯電話でさえも持っていない人が多かった。私も持っていなかった。そのなかで情報が行き渡ったのは、やはり灘校の一体感の為せる業ではなかったか。

そして大学受験の結果は、これも驚くべきことに、前年度を上回る東大の合格者を輩出することになった。つまり、先生方も生徒たちもファイティングスピリットをかき立てて闘ったのである。見たか!これこそ灘校の底力や!とでも言わんがばかりに。

北陸の受験生たちには、そりゃ辛いだろうけれども、まずはあなたの闘う気力を失ってほしくない。今まで頑張ってきたんだろ。災害は辛いけれども、自分の人生まで壊すことはないよ。最後までしっかりと闘い抜いてほしいと強く願っています。

春に志望校や志望大学のキャンパスを笑顔で歩くあなたの姿を楽しみにしている方々がきっといらっしゃる。自分のためにも、その方々のためにも、1995年の灘校生たちのように努力を継続してほしい。今こそ持ち前の負けん気を発揮してほしい。

木村達哉

追記
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