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抜き書き

2021.04.05(月) 11:38

33年間、ずっと英語脳でした。毎年春になると、旺文社から『全国大学入試正解』が発刊されます。北大から琉大までのすべての問題に目を通し、出題傾向や使用語彙などを確認してきました。25歳ぐらいから続けてきた習慣です。とてもいい英語の勉強になりました。57歳になって、毎日が日本語脳(なんて言葉があるのかどうかはわからないが)です。

本を書くことが仕事となったわけですが、英語の本を書くにせよ日本語の本を書くにせよ、日本語の表現力がすべてなんです。今までは小説ほど微妙なレトリックや比喩が必要なかったというだけで。日本語の表現力が高くないと、英語の本でさえも書けないのです。全部英語で書くわけではないですから。

本を読み、このHPのGOOD READSに書評を書きながら、日本語のレトリックを考えたり、段落を工夫したりしています。書き終わったら公開ボタンをクリックする前に声に出して読みます。リズムの良い日本語になっているかどうかをチェックします。今まではこれほど日本語にこだわっていなかったものですから、勉強と言えば勉強なのでしょうけれども、自分のレベルの低さを嘆くばかりです。

日本語の表現力を意識しながら本を読むと、読み方がまったく違ってきますね。返り読みをしてばかりいます。特に隠喩と擬人法の上手い作品を読むと、目がエレベーターのように上下に動きます。読み終わることを目的にしているわけではないですし、読んでいるのが小説ですからね、速読する必要などまったくありません。ライオンが獲物に近づくがごとく、ゆっくりと日本語の表現を追いかけながら読んでおります。

同じような読み方をされている方もいらっしゃるとは思うのですが、アドバイスさせてもらうとすれば、本に付箋を貼るよりも抜き書きをするほうがいいですね。ノートに手書きをするのでもPCに打ち込むのでも構いません。スマホだと音声入力ができるので便利です。これはと思う表現が出てきたら、スマホに向かって音読するだけで文字入力ができ、それをPCにメールで送ればいいのです。

書きたまった日本語の表現を見返す習慣を身につければ、すべての表現を覚えることはできないにしても、自然と出力できる表現が増えてくるはずです。私は音声入力を、一緒に福島県で活動をしている数理哲人先生から教わり、大いに役立てています。参考になれば幸いです。

木村達哉拝