昨日の日記に「治癒するまでは」と書いたのに、埼玉県深谷市にいる。右足を引きずりながら伊丹空港までたどり着き、羽田空港からはそれぞれのインフラがいかに体の不自由な人間のことを考えずに設計されているかを思い知った。
創学舎高校は深谷市との提携のもとに設立された通信制高校である。学費が極めて安く、その点で言えば恵まれないご家庭の子息であっても入りやすい学校である。現役を退いた先生方が中心となって、全日制高校に所属していた頃には不登校であった生徒たちの指導をされている。金儲け主義の粗悪な通信制高校が増える中、安心できる高校のひとつである。
この高校は『あなたのちからになりたくて』を100冊ほど購入くださり、希望する生徒たちに配付してくださっている。私の絵本はそもそも学校に通えなくなった灘校生たちに、もっと気楽に生きればいいよと言いたくて創った本である。希望した生徒たちのちからになれればと願う。
通っているのが全日制であれ、定時制であれ、通信制であれ、力を付けていかねばならないという点では同じで、せっかく生まれてきたのだから、周囲の人たちと一緒に笑顔で生きていかねばならないし、そのためには勉強を通じてレベルを上げ、他者貢献ができるようにしようと、講演では話しかけた。
問題は、なんの勉強をするのか、である。大谷さんは野球の勉強を、松山さんはゴルフの勉強を、根本要さんは音楽の勉強を、それぞれ継続しながら生きてこられた。私は英語と日本語の勉強を続けてきた。何の勉強をするのかは自分で決めることである。
生徒たちの聞く姿勢は素晴らしく、背筋を伸ばしてじっと、時には大笑いしながら、私を見つめて頷いていた。生徒たちよ、通信制だの不登校だのに劣等感を抱く必要などないのだ。かく言う私だって、高1から高2にかけて70日ほど学校を欠席したが、なんの影響もなく今日に至っている。当時は不登校という言葉がなかっただけである。
なにより自分がこれをやりたいという勉強を書き出すべきである。生きているうちに達成したい5つか6つぐらいのことを、ひとつずつやっていけばいいのである。いつかそれなりのレベルに達したとき、今度は君たちが人前で講演する立場になる。夢ってのはつまりそういうもので、いつの間にかじわじわと叶っていくものなのだ。講演で話したとおり、幸せに生きるために勉強を。
木村達哉
追記
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