1月30日。『ロシア語だけの青春』の二度目を読了する。何度も読む価値のある本は何度も読むに限るが、読む価値があるというのにも理由がいくつかある。日本語のレトリックが優れている小説の場合、読み返す場合には日本語の表現を拾い上げながら読む。英語の本の場合も然りである。
『ロシア語だけの青春』の場合、私の勉強法に似てはいるけれども、著者の黒田先生の勉強があまりにも凄まじく、自分の英語学習が極めて浅くて甘いと感じられたことにある。お互いに共通している点は音声、和訳、露訳(私の場合は英訳)からの暗唱であるが、黒田先生の場合には量が段違いである。
詳細はこちらに書評を書いておいたので、英語学習者だけでなく外国語を学んでいる人たちにはぜひご一読いただきたい。対策的勉強だけでは勉強の質も量も如何に浅くなってしまうかを思い知ることになろう。何十回と音読し、頭にこびりついてしまう学習がやはり欠かせないのである。
英語学習に関する講演をするとき、最初に言うのが「どの程度のチカラを身につけるのかは自分で決めてほしい」ということである。英語でおまんまを食べていく人生を創ろうと思えばかなりの勉強が必要である。仕事はカネである。英語を仕事にし、カネを稼ごうと思うなら中途半端では成立しない。
一方、英語ができればいいな程度であれば、つまりそれほど真剣でないのであれば、英語の勉強のようなことをしていればいいのであって、まったく聞き取れるようにも話せるようにもならないが、なんとなく英語を勉強した気分には浸れる。入試も共通テストレベルなら取れる。
どの程度勉強するのかをまず設定することである。そこを決めないと、たいていは挫折することになる。挫折をしてもさほど悔しいそぶりを見せずに「続けるのは難しいよね」と白い歯を見せる程度の「覚悟」であるならば、それもまたいいのではないか。人生は全て自分で決めればいい。
書評に書いたとおり、黒田先生のロシア語学習は凄まじい。文体が軟らかいのですらすらと読めるが、読むにつれて自分の学習の甘さを指摘されているような気持ちになってくる。そして勉強したくなってくる。英語を含むすべての外国語学習者に読んでいただきたい一冊である。
木村達哉
追記
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