2月6日。毎年毎年この日は同じことばかり書いているが、母の誕生日である。昭和13年の今日なので、86歳である。生きていればの話ではあるが。大阪で生まれ、職場で父と出会って結婚し、私を26歳で産んだ。私が生まれたとき父が失業中であった話は、それこそ耳にタコができるほど聞かされた。
子どもができたと嬉しそうに伝える母。それに対して申し訳なさそうに、実は仕事を辞めてきたと告げる父。テレビドラマのようなことがたびたび起こるのが木村家であった。父が1億9000万円もの借金を抱えて失踪するところまでは少なくともドラマ以上だったように思う。
借金取りに追われ、月末になるとため息をついていた。帰ってこない父を待ってか待たずか、毎晩菊正宗の2級酒を飲んでいた。酔っ払いの話し相手になれるほど私は大人ではなかった。6畳と4畳半の二間しかない家で、毎日が闘いだったように思う。
62年の短い人生だった。実によく笑い、本当によく怒り、よくそれほど泣けるなというぐらい泣いた彼女の誕生日を覚えているのはきっと私だけである。少なくとも私が生きている間は毎年しっかりと祝ってあげようと思う。すでにそれぐらいしか親孝行ができないのだから。
そんなわけで、おかあさん、誕生日おめでとう。禁酒中なので、あなたがこよなく愛した菊正宗は4月の再検査まで飲めないけどね。おっと、まだまだそっちには行かないので、そこのところはくれぐれもよろしくお願いします。
木村達哉
追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。週2~3通配信です。家庭や学校、会社での会話や先生方は授業での余談にお使いください。