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弥生

2024.03.01(金) 06:00

3月1日。今日から弥生。暖かな陽気にすべての草木が茂り始めるという意味の弥生(いやおい)が変化して弥生(やよい)になったらしい。拙宅の梅の木も元気に咲き誇り、たまに鳥たちが来ているなと思ってそっとベランダから見下ろすと目が白い。メジロである。

ゆずの木には何の虫かはわからないがさなぎがいくつか成っている。もうしばらくすれば蝶か蛾かが庭を飛び交うのだろう。その虫たちを狙ってやってくる鳥たちもいる。動物や昆虫が大好きな私としては、嬉しい季節である。

子どもの頃は、さまざまな生き物を飼っていた。文鳥、セキセイインコ、ニワトリ、ひよこ、犬、フナ、鯉、金魚、カブトムシ、ゲンジ(クワガタ)、セミ、カマキリ、バッタ、コオロギ、カエル、ミミズ、タガメ、ミズカマキリ、うなぎ、挙げればきりがない。

そんな中で育ったものだから、最近の街住まいは味気なく感じる。蚊やゴキブリはありがたくないにしても、虫がいない家というのはどうにも文字どおりに不自然である。自然がいっぱいある住まいが大好きなのである。したがってマンションには住めない。

英語のほうに来たが、高1から高2になる際に人生の進路を考えるが、文学と生物で少し迷った。動物や昆虫を研究するのもいいなと思ったのだ。生物の点数が10点や20点でなければ今ごろはそっち方面での講演をしていたかもしれないとよく考える。

さかなクンをテレビで見ていると、なんだか羨ましい気持ちにかられる。好きなものを追求し、好きなことをしながら生きている彼は眩しい。自分は、自分の人生は、果たしてどうかなと考えてしまう。今となっては朝起きてから夜寝るまでずっと文章に携わっているので幸せではあるが、教員時代はずいぶん我慢した。

弥生。暖かくなり始めるこの季節が大好きだという人は多いが、私の場合には暖かさというよりも動物や虫たちが動き始めるのを見てわくわくしているのである。

木村達哉

追記
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