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ひねもすのたりのたりかな

2024.04.16(火) 09:00

4月16日。ようやく昨日の雨があがった。洪水警報が発令されていたぐらいだからかなりの降水量だったのだろう。沖縄の水不足が多少でも解消に向かえばいいがと思いながら、部屋で本を書いていた。三省堂から依頼された本も終わりが見えつつある。

『中学英文法を修了するドリル』が大人気のMr. Evineとは飲み仲間だが、お互いによく似ているのはなかなかの遅筆であるという点である。こだわり過ぎるのだろうけれども、この表現は違うなとか、あっちの表現のほうがよさそうだとか考えて唸っているうちに、締切はとうの昔になりにけりである。

Gakkenの新刊を脱稿した際には、この三省堂の本も2月か3月には書き終えることになるだろうと計画を立て、2024年の沖縄手帳に計画を緻密に記しておいたのにも関わらず、今となってはそのページに巨大なバツ印が付けられている。赤いバッテンが泣いているようにも見える。

ただ、そうは云っても、である。ある作家が「内容より締切」とのたまっている。理由は簡単で、締切を確実に守る物書きには絶対に次の仕事が入るからである。内容が多少粗くても、言葉の使い方が多少未熟でも、締切を守りさえすれば仕事が入り、したがってカネが入るのである。

私もさすがに琉球新報社から依頼されている連載は落とさないにしても、そしてそんなことは当たり前すぎて胸を張れないにしても、連載と著作とではある点で気合いの入り方が異なるのである。どちらも気合いは十分で、相手が朝青龍であっても立ち合いに当たり負けをしないぐらいの気合いを持って臨むにしても。

連載は、それがある程度まとまったら本になるという場合を除けば、流れていく。先々週や先週のコラムを大事に保存してくださる方がどれぐらいいるのだろうか。たいていは読み飛ばし、そんなことはしないけれども仮に同じ内容のコラムを何年後かに書いたとしても、ほとんどバレることはないだろう。

著作は違う。私の本のようなものであっても国会図書館の蔵書となり、それなりの方々の人生に何ミリかの影響を及ぼす。東大などに入って日本を支えていく子どもたちが読者になる本もかなり多く、そう考えるとどうしても気合いが入る。気合いがこだわりに変容し、そして締切が守れなくなる。

Mr. Evineも私も、それでも執筆の依頼を頂戴できることを感謝しながら、なんで俺たちはこんなにも駄目なんだろうなぁとビールをあおりながら、やはり1語にこだわるのである。編集者諸氏の頭からは湯気があがっていることと推察できるのだが、そんなわけなのでしばしお待ちいただきたい。

木村達哉

追記
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