5月25日。甲子園に住んでいますと自己紹介するときょとんとされる。このあたりの人以外は「甲子園」といえば球場を意味するからだろう。甲子園というと特急電車が停止する駅で、大阪まで10分しか、神戸三宮まで18分しかかからない。加えて、大阪国際空港まで空港バスを使えば20分で行けるので人気の高いスポットである。
うるさいんじゃないかと思われる向きも多いようだが、さにあらず。ニッカポッカを着たタイガースファンや高校野球のファンは試合のあるときしか見かけない。年間300日ぐらいは閑静な住宅地なのである。駅前で煙草を吸うヤカラが年に60日程度ならば、我慢の範疇ではないか。むしろ風に乗って遠くから聞こえてくる六甲おろしが耳に心地よい。
灘校の社宅に入っていた頃に、自宅をネットで捜していたところ、良さそうな家を甲子園に見つけた。当時は右半身不随の父がいたので、一階に風呂もトイレもあって彼が独りを満喫できる広い部屋のある家を探していたのである。購入したあとに父は死に、結局はその部屋も客人のためのものになった。
気に入っているのは神社である。西宮えびす神社までは徒歩30分ほど。初詣に行かずともえべっさんには出かけていくのが関西人というものである。近くにえべっさんの総本山があるというのは、極めて縁起が良い。
加えて、さくらの散歩コースにある鳴尾八幡神社は静かで心洗われる場所である。1995年の阪神淡路大震災によって全壊し、長い間閉鎖されていたんですよと近所の散髪屋に教えてもらった。2021年に西宮えびす神社の宮司さんがこちらの新宮司として就任され、その後は地域の守り神となっている。
今日は月に一回開催される縁日に出かけた。近隣の方々だけでなく、イギリス人やアメリカ人もクッキーや野菜の露店を出しておられ、鳴尾八幡神社は大いににぎわっていた。ギター一本でライブをしている人がいるかと思えば、昔ながらの製氷機でかき氷をゴリゴリ作っている人たちも。
いいところだなぁと思いながら散歩していた。沖縄も広島も北海道も静岡も福岡もどこもかしこも良い場所なんだけれども、この甲子園近辺は山もあるし海もある。神社がたくさんあって、緑地も非常に多い。ショッピングモールや病院が驚くほど多くて便利極まりない。
奈良県出身の私はいつかは戻るのもいいかななんて考えていた時期もあったのだけれど、今は甲子園に惚れ込んでいる。拙宅にいらっしゃった折にはあちらこちら案内させていただこう。まずは神社から。
木村達哉
追記
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