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完璧なPCを作らない理由は

2024.06.03(月) 04:55

6月3日。木村達哉事務所のウェブ担当であるY君がさくさくとパソコンの設定をしてくれた。PanasonicのLet’s Noteで仕事ができるようになった。が、実際に執筆をしているのはいまだにNECのLavieである。Windows 10に慣れているものだからどうしてもこっちを使いたくなる。

個人的にはXPが一番使いやすかったように思うなぁとY君に愚痴ると、なんでこんなにしょっちゅう仕様を変えるんでしょうねという話になった。完璧な、つまりこれ以上はインプルーブしようもないPCやらOSやらを作る技術はあるように思うんですよねとY君は言う。

完璧なパソコンやOSで思い出したのだけれども、アメリカで発表されたある論文にこういうものがある。完璧なものを作ってしまうと経済が成り立たないというものである。不便なまま、改善の余地を残したままに敢えてしておくことで、新製品にカネを落とす人々で溢れかえるのだという内容の論文であった。

サポートが今年で終わりますよと言うから新しいPCを買う。次のOSにはこんな機能がありますよと言うから新しいPCを買う。なんなら会社や学校のPCを全部入れ替えるというようなことが起こると、言うまでもないことだが、かなり巨額のカネが動くことになる。

そうか、GIGAスクール構想ってそういうことなのかとY君に言うと、そういうことなのかもしれませんねと、彼らしく涼しい笑顔で彼自身の仕事に戻っていった。なんだか腑に落ちた気持ちになった。

どういう世界にもそれなりの哲学があり、それなりの事情がある。学校にもそうだ。こうすればいいのにという思いを抱えながら、それでも改善されずに何十年も経つのは事情が許さないからである。

たとえば、教員が不足しているのだからもっと雇えばいいじゃないかと言うかもしれないが、一部の余った教員が週に数コマの授業しか請け負わないのにこちらの教員は20コマ教えているとすれば、不公平になる。全員が大変だと、文字どおり大変なのだけれども、公平といえば公平だ。

それぞれの事情が経済を動かし、それが担当者の所得になっているのだとすれば複雑なのだけれども、いつかは完璧なPCやOSが出来ればいいなと願う。でも、それはきっと、実現するにしてもかなり先の話だろうから、Y君には「僕より先に逝かないように、健康に気を付けて生きてね」とお願いしたところである。

木村達哉

追記
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