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93作目、脱稿の巻

2024.07.01(月) 11:00

7月1日。三省堂から依頼されていた『まるまる反復英文法総復習(基礎編)』が午前中に脱稿することができた。最後の句点を打ち終わった瞬間に体から力が抜け、やったぜと独り言ちたのは言うまでもない。好きな言葉は「脱稿」と「増刷」である。本を書いた経験のある方ならお気持ちは理解していただけるはず。孤独な闘いがひとつ終わった。

文章を書いて糊口をしのぐ物書きになるわけではないにしても、生きているうちに1冊か2冊は自分も本を出してみたいと多くが仰る。以前に比べると本を出すことは簡単になったのだから、まずは文章をお書きになったらいいですよとアドバイスを送るのだが、そもそもそれが続かない方が多い。ブログでもnoteでもなんでもいいのだけれど、文章を書かないことには200ページに届かない。

また、それだけの分量を積み重ねようと思ったら、伝えるべき想いがなければスカスカの内容になってしまう。英語であれ、小説であれ、エッセイであれ、あなたは何を書きたいのか、何故それを書きたいのか、誰に向けて書きたいのか、それによってどういう影響があるのか、自分の言葉で明確に語れなければならない。

三省堂の編集者に送った『まるまる反復英文法総復習』は私の93作目になる。英語関係だけでなく保護者に対するアドバイスを書いた本、絵本、エッセイなども出してきたが、どれも私の頭の中にあるコンテンツを言葉や絵にしたのである。したがって頭がすっからかんだと本など書けるわけがない。その点では書く以上にインプットは重要である。ネットに転がっている程度の浅い情報ではまったく足りない。

明日から94作目を創り始める。まずは頭の中のカオスを文字化するところから。台割を作っているとわくわくするのに、1ページ2ページと書き進めるにつれ、また始めてしまったなとため息をつくことになろう。マラソンを走ったことはないが、もしかしたらランナーと同じ心持ちかもしれない。でもきっと、くじけそうになるたびに、ゴールテープを切る喜びと著作を手にしている読者の方々の笑顔とを思い浮かべながら、まずはあの電柱まで、それができたら次の電柱までと、走り続けるのだろう。

木村達哉

追記
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