7月27日。この年齢になると若い(なかには若くない)先生方や英語学習者から質問や相談をしょっちゅういただく。根が大阪のおばちゃんなので聞かれてもいないことにまで言い及ぶのは悪い癖だが、自分で言うのもナンだけれども懇切丁寧にご説明申し上げることにしている。
西大和学園と灘校で33年間英語の教員をやったものだから、東大やら京大やらハーバード大やらマサチューセッツ工科大やらといった大学の志望者たちに英語を、というより英語の勉強法を毎日説明してきた。勉強するかどうかは教え子たち次第ではあるが、少なくともこうやれば英語はできるようになるというメソッドを、教材を使って説明する33年間だった。
したがって、文科省がアクティブラーニングと急に言い出した後もペアワークなどやったことがない。自宅に戻るとペアの相手がいないのに学校でだけ通用する「勉強法」ではまったく意味がない。語学なんて自分でやるものだ。師匠がいたほうが習得しやすいのでレッスンは大切にしたほうがいいかと思うが、それにしたって自分でできるという向きには強制しない。
文部科学省のイベントに登壇したとき、ペアワークやグループワークをするのがアクティブラーニングなんですかと当時の初等中等教育局の官僚にパネルディスカッションで尋ねたところ、全然違いますと仰った。会場におられた800人ほどの先生方がどよめいた。では、独りで沈思黙考するのもアクティブラーニングですかと尋ねると、そうですとその官僚はおっしゃった。
であれば、僕は小1の頃から常にアクティブラーニングをしてきたことになりますと申し上げると、それでいいのですとおっしゃった。今から思えば有意義なイベントだったように思う。
いたずらにペアやグループで活動をする教員が多いように思うが、それは間違いだ。大切なことは、生徒たちが家に帰ったあともしっかりと学ぶことができるような方法を教えることである。そして、この先生に教わると英語が勉強したくなるという教員になることだ。それが全てだと言ってもいいかもしれない。
教員ができることは大して多くない。塾の講師も然り。成績を上げるのは生徒たちの自習時間である。おそらく大谷君も村上君も、自習時間に黙々とバットを振り続けたことだろうし、それが今の彼らにつながっているのだろう。そりゃ全体練習も大事だけれども、個人の力は個人で意識を高く持って上げるしかない。
木村達哉
追記
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