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人間ドックの結果を見て思うに

2024.08.18(日) 02:00

8月18日。人間ドックの結果が返ってきた。肝臓の数値が少し高い以外はすべてA判定。仮に人生100年とすればまだまだ膨大なる時間が残っている。あと40年、何をするにしても幸せに生きたい。今さらインフルエンサーになりたいとも有名人になりたいとも思わない。SNSのフォロワー数を競い合うような人生には意味がない。

むしろシンプルに、本当にやりたいことを全てやってしまいたい。本を書くのはそのひとつ。ウクレレやゴルフの練習をしているのだって、膨大なる時間つぶしのファクターではあるが、「本当にやりたいこと」だからやっているのである。ドイツ語の勉強も然り。人生の時計はどんどん動いているのに無駄なことに時間を割きたくはない。

それを考えると高校や大学の頃は時間の無駄遣いがひどかったなと反省しきりである。夏休みなどもそうだ。朝起きてやることがなければ二度寝し、否、違うな、やることがあっても二度寝し、起きたら昼頃。お昼を食べたら暇を持て余し、漫画を開いたり友達に電話をしたり。当時もしスマホがあったら一日中にらめっこしていたのではないか。

働き始めてもさほど時間の無駄遣いは変わらず、飲みに行ってはだらだらと飲み屋で時間を潰し、太宰や中也を気取りながら翌日まで残るほどの酒を飲み続ける。二日酔いになるというのは翌日までずうっと酒を飲んでいるようなものだから、生産的ではない無駄な時間が何十時間も続くということだ。こんなのがいっぱしの人間になれるはずがない。

灘校を退職して、24時間が完全に自分のものになった。退職したら誰でも体感することになると思われるが、時間を持て余すというのはこういうことなのかと呆然とした。幸いにしてやるべきことがないわけではないのだけれど、mustがなくなったことで自分を律する必要性がそれまでよりも高くなった。おかげで無駄な時間にも敏感になった。

今でも非生産的な時間がないわけではない。けれども、その時間も精神のカタルシスになるのであれば無駄ではない。朝から晩まで勉強している生徒の成績があまり高くならないのと同じで、ずっと執筆ばかりしているとクオリティーが落ちる。退職して3年が経ち、生産と非生産のリズムを意識することが大切なのだとようやく気付けたのは大きい。

65歳で宮仕えを終えて自由になったはいいけれど、なにをしていいのかわからずに一気に老ける人が少なくないそうだ。中にはやっと定年になったのに、その何年後かにお亡くなりになる方もおられる。私の場合はまだ60歳。痛いもかゆいもないのだから、人生の大きい目標は設定するとしても頑張りすぎずにやっていこう。人間ドックの結果を見ながらそんなことを考える日となった。

木村達哉

追記
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