朝起きたら何紙かの新聞にざっと目を通します。面白い記事があるかなと思いながら、です。海外の新聞もありますし、地方紙もあります。全部の記事をしっかり読むことはありません。むしろヘッドラインをスキミングしながら、興味を引くものがあれば細部まで目を通します。
スポーツ紙は、中日ドラゴンズのファンですので、中日スポーツです。登録して、毎月300円ほどのお金を払って読んでいるのです。アルクの英辞郎も同じ値段ですが、1年間で3600円でしょ?めちゃくちゃお得じゃないですか。
21日の中日スポーツに「ハマの番長は青色吐息」というヘッドラインを見つけて、あれ?と思いました。間違いありません。「青色吐息」とあります。記者が書いたのは言うまでもないのでしょうが、おそらくチェック機能が上手く働いていないのか、あるいはチェックする立場の人の日本語力もこの程度なのか、非常に残念に思いました。
正しい四字熟語は「青息吐息」です。「青色吐息」ではありません。
文章を書く際には様式にせよ、レトリックにせよ、しっかりと調べながら書きたいものです。当然のことながら、傍らに辞書を置き、不安な言葉があれば調べる習慣を身につけたいものです。特に「てにをは辞典」や「類語辞典」、「ことわざ辞典」や「四字熟語辞典」などは、なにかと多用する辞書ですので揃えておかねばなりません。
(写真は紀伊國屋書店ゆめタウン博多店さん)
誰にでも言葉の語法や文法に関して思い込みというものはあります。しかし、新聞紙上でこういうミスをすると、記事の中身や会社の体質にまで信頼が置けなくなります。ミスをしたことが問題というよりも、チェック機能が働いていない会社が出している新聞というふわっとした印象を読者に与えるのが良くないのです。
これは現在の新型コロナウィルスに対する日本政府の姿勢にも言えることです。死者数が少ないのだから、政府の対応は必ずしも間違いじゃないという意見はよくわかるし、そうかもしれません。しかし、我が国でオリンピック・パラリンピックが開催され、海外から選手団がやってくるという話になると、日本だけの問題ではなくなります。
実際、海外の新聞に、日本ではPCR検査数が非常に少なくて、感染者数を隠蔽している可能性が高いという記事が掲載されています。また、ワクチン接種率がアフリカの貧しい国々や政情不安定なミャンマーよりも低く、医療従事者にも行きわたっていないという記事に出くわします。
日本のことだから放っておけ!と言う人もいるかもしれませんね。Mind your own business!と言いたくなる気持ちもわかります。しかし、海外の多くの国々ではPCR検査数が多く、ワクチン接種率が日本より高いのです。そういった国から見れば、日本はコロナ対策をしていない国のように見えてしまうのも無理のない話。
実際にどうなのかより、どう思われているかのほうが大切なことってありますよね。
(写真は旭屋書店ららぽーと甲子園店さん)
中日新聞社はしっかりした会社だと思うのです。言葉に気をつけて新聞を作っておられるとは思うのです。が、であるならば、こういった重大な言葉の誤りを、その記事のアップデートから24時間以上経過した今もなお放置している状態を改善しないと、企業全体に対する不信感につながるのではないかと思っています。
同じことが学校や企業、公的機関で発行する公文書の作成にも言えます。決して文章作成のプロではない国語科の先生に任せ、国語科なんだから大丈夫だろうというような思い込みによって、文章のプロが見るとびっくりするようなミスを重ねている緩い学校もあるようです。そんなものは教育のクオリティとは関係ないだろうというのは学校側の言い分。保護者や生徒からは、文書も正しく作れない学校、チェック機能が働いていない学校というふわっとしたネガティブな印象を持たれかねません。言葉は大切にしたいものです。
木村達哉拝