8月30日。村上中等教育学校の質疑応答である女子生徒から「お勧めの小説を教えてほしい」と言われたので、原田マハさん、浅田次郎先生、遠藤周作先生の作品を紹介した。メルマガには書いたのでお読みくださった方はご存じのとおり。その生徒はそれなりの読書家ということだったので、であれば遠藤先生の作品に浸るのもいいのではないかと申し上げた。
もしもあまり小説を読んだことがないということであれば、浅田次郎先生のエンタメ小説『プリズンホテル』がお勧め(こちら)である。春夏秋冬の4編から成る四巻本ではあるが、まずは夏(第一巻)からお読みいただきたい。第一巻が面白くないなと思ったらそれでおやめになったらいいが、この本がツマラナイと言った方にお会いしたことがない。
本には「なにから読むべき」というようなものはない。強いて言うなら「目についたものから」が正しい。書店や図書館に行くと極めて多くの本があるので、目についたものを全て読むつもりで片っ端から読めばいいのである。それが正しい姿勢だ。ビュッフェスタイルのレストランで「何から食べればいいかな」と悩んだ挙句に何も食べないまま出る馬鹿はいまい。片っ端から食えばいいのである。
アクティブラーニングだ!探究だ!と言っても、すべては読書が基本である。文章を読むこともなく、感覚と感想だけで生きていけるほど世間は甘くない。本を読み、教養を身に纏い、積極的に行動していくうちに、その人に魅力が出てくるのである。読んでいるだけでは駄目だけれど、本を読まないようなのもまったく駄目である。
ビジネスパーソンになって慌ててハウツー本を読む人もいらっしゃるが、そういうのを泥縄と言うのである。若いときからさまざまな種類の書物に触れ、いろんな知識を身につけておくことだ。本なんてと言う方はそれでも良いが、しっかりと本を読んで若いのに優れた判断力と行動力を持っている人が結局は社会では成功する。間違いない。
昨今では学校や塾で極めて多くの課題とテストを課し、生徒たちも教員も疲弊している例が多いように思われるが、本を読んで学ぶ場所にいる者が「本を読む時間もない」と言っているようでは未来が暗いように思う。そこのあたりは教員たちこそ本を読み、お勧めの本を生徒たちに読む時間と余裕を与えるべきである。
もっとも、管理職は教員たちに読書をする時間と余裕を与えるべきなんだけれど。
木村達哉
追記
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