BLOG / ブログ /

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 読む楽しみ、書く楽しみ

読む楽しみ、書く楽しみ

2024.08.31(土) 07:00

8月31日。訳あって短編小説を何本か書くことになり、構想を練っては書いている。人物、時代、場所、そういった設定を考えずに書いてしまうと軽薄なものになってしまうのは言うまでもない。専用のメモ帳に書きつけて、機が熟したら書き始める。いったん書き始めたらあとは勝手に手が動いてくれる。

1本目は「家族」をテーマにした。2本目は「仕事」にした。こんな要領で、それぞれの小説にテーマを持たせると読んでくださる側もご自分の経験に照らしながら、私もそう思うとか、それは違うんじゃないかとか、いろんな思いを抱いて読めるのじゃないだろうかと考えている。

英語で小説など書いたことがないものだから単語の選定が難しい。英語畑の方であればおわかりいただけると思う。論説文と小説では使うべき単語がまったく異なる。同じ「笑う」でも、laughなのかsmileなのか、それともcackleなのかgiggleなのかによって読み手の印象はぜんぜん違う。「げらげら笑う」のであればwildly付きのlaughである。

文章を書くのは子どもの頃から大好きで、つまらない授業中はなにかしらを書くか、あるいは絵を描いていた。書こうと思うと普段から文章を意識しておかないと極めて薄い文章になってしまう。同じ「怒る」表現でも「業を煮やす」と書くのと「怒り心頭に発する」と書くのではニュアンスも使い方も異なるが、そもそもそういう表現を知っておかねばならない。

勉強しなければならないという強迫観念などなく、むしろもっと上手く文章を書きたいという純粋な気持ちから、国語辞典やことわざ辞典は友達であった。夜遅くにならないと親が帰ってこない家で育ったものだから、テレビの仮面ライダーやウルトラマンが終わると、そういった辞典を読んだり小説を読んだりして時間を過ごしていた。

しなければならない勉強はつまらないが、したい勉強は面白い。残念ながら賞状は残っていないが、小学校時代は読書感想文で賞をいただいた。一冊分の感想文を提出すれば先生は満足してくれるのに、十冊分の感想文を原稿用紙30枚ほどにしたため、それを黒い閉じ紐で留めて提出する小学生だった。今から考えれば迷惑な児童だった。

母はそんな私を褒めてくれた。もっと読め、もっと書けとけしかけてくれた。速く読めと言われたことはなかったが、たくさん読んでいると速くなるのだと気づき、ますますたくさん読んだ。ゆっくり読んでいるつもりでも速く読めるようになってきた。その頃から読書はますます面白くなってきた。なにかと「協働的」が流行りだが、若い人たちには本を読む楽しみを自分で見つけてもらいたいと切に願う。

木村達哉

追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を火木土の週3通無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。家庭や学校、会社での会話や、学校や塾の先生方は授業での余談にお使いください。