9月24日。スマホの電源を切って、あの人はどこにいるのだ、いつ帰ってくるのか、そもそも帰ってくるのかと編集者をやきもきさせる(かどうかは知らないけれど)数日から一週間を年に必ず一回は過ごすことにしている。宮仕えをしていた頃は授業に合わせて帰ってこなければならず、部活動があるとそうは長期間留守にはできずという具合いだった。
勤め人ではなくなると盆も正月もなく働くことになった。起業した教え子に聞くと、「先生、勤め人と違って自由業は自由ですけど仕事と余暇の境目がないですよ」という返事が返ってきた。であれば、自分で意識して精神のカタルシスを図らねばならない。ここは完全なる余暇ですという一週間は貴重だ。普段できないことをしたい。
とはいえ、勤め人時代から勤め人のくせに勤め人らしくない行動をして勤務先に迷惑をかけてばかりいた私だから、仕事に差し支えない程度に日本を離れてはいたのだけれど。そしてそれは新しい価値観を形成する貴重な時間になっていたのだけれど。
行方不明に必要なグッズはパスポートと常備薬だけである。写真は撮るがSNSにはアップしない。どこどこに行ってきました!的な自慢げな投稿は絶対にしない。街と人を見て静かに過ごす。ただ一つ、私の場合はどうしても必要なツールがあって、それは電子書籍キンドルである。これがないとスーツケースが異常に重くなる。
旅先では極力お酒を飲まない。眠くなってしまうからだ。下手すると翌日まで体が重くなる。多少のお酒は楽しみたいが、大切なのは旅を楽しむことで、お酒のせいで眠くなったり重くなったりするならば要らない。こんなところにも人がいるんだなぁ、こんな食い物があるのか、電車やバスはクレジットカードがあれば乗れるのか、これは日本とはぜんぜん違うなぁ、あれも日本とはぜんぜん違うなぁ、日本は進んでるなぁ、日本は遅れてるなぁ、を楽しみたい。
木村達哉
追記
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