10月18日。萩高校二日目である(初日の様子はこちら)。せっかくレンタカーで萩に来たのだからと、萩高校の講演が終わってから松下村塾に向かった。同校からは車で数分のところにある。前回来たのはコロナ前だったか。来たことのある方はご存じだと思うが、その小ささに驚くことになる。今回はアルク植元君と一緒だったが、彼の第一声も「ちいさ!」だった。
小屋と呼んでも差し支えなさそうなこの小さな建物から伊藤博文や山県有朋といった偉大な政治家が輩出された。当時の私塾は人材を生みだそうとしていた。決して◎✕大学に何人合格させるといった下品な考えはなかった。時代といえば時代なんだろうけれども。今は合格した人数ばかりを売り込み、合格した人たちがどういう活躍をしたかを教えてくれる塾は無い。
内田樹先生と対談したとき、学校教育の時代は終わったと言っておられた。これからは塾の時代だと。しかし、学校も塾も「何人合格」を標榜しては人集めをしているように思う。とは言え、保護者もそれを望んでいるのだから、きっと人材育成を掲げているだけでは倒産してしまう時代なのだろう。
今日は萩高校2年生に対しての講演だった。来年4月に成人となり、その翌年4月には志望大学の入学式に参列する彼ら彼女らのなかから、日本を憂い、日本を支える人材が出てくることを願う。その頃には日本の人口が1億1千万人台になり、高齢者が現在よりも増え、それにしたがって年金額が下がり、社保料が増えているのだろう。
英語の勉強法について話をしたけれど、結局はそういう想いや願いが土台になってモチベーションが上がるのである。昔は「勉強してエライ人になりなさい」と親は言ったけれども、今は勉強して大学を出ても大したサラリーなどもらえず、疲れた大人を見ては勉強して何になるのだろうと思っている子どもが多い。
日本はいつからこうなったのだろうなと思いながら、そしてそれでも一縷の望みを抱きながら、萩の子どもたちに心を込めて話した。
木村達哉
追記
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