皆さんは満寿屋というお店をご存じですか。私が勝手に師と仰ぐ浅田次郎先生をはじめ、吉行淳之介、宇野千代、川端康成、大江健三郎、吉川英治、三島由紀夫…数々の文豪が使う原稿用紙を一手に引き受け、作ってこられた浅草のお店です。
今日、大きい段ボール箱が私の自宅に届きました。
東京のHさんという方からの荷物でした。おそるおそる開いてみると、大量の原稿用紙が。
赤い罫は浅田先生と同じ。100枚ずつ美しく包装され、極めて品の良い紙。おそらく浅田先生が使っておられる原稿用紙と同じタイプなのでしょう。そして、左隅には木村達哉用箋の文字が。
お手紙によると、10数年前から私のブログを読み、英語の勉強を重ねてこられたとのこと。灘校を退職して作家業に専念すると知り、浅田先生と同じ紙、浅田先生と同じ罫の、特注の原稿用紙を満寿屋で作って贈ろうと思われたとのことでした。
Hさんにはまたお礼状をお送りしますが、Hさんに深く感謝しています。自分の文章が知らず知らずのうちにこの方の人生の一部となっていたのであれば、嬉しいことです。これからさらに精進して生きていかねばなるまいと、燈色に光る満月に向かって独りごちた夜でした。
木村達哉拝