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物書きの矜持

2024.12.06(金) 03:20

12月6日。こうして日記更新を停滞させると後から大変な目に遭うというのは小学生時代に学んだはずなのに、どうも学びが足りないように思われる。と言いつつ、メルマガやFacebookはそれなりに更新しているのだから勘弁賜りたい。

以前も書いたが、紙の日記はかなり前から毎日書いている。それに加えてこの電子日記と2種類のメルマガを書いているのである。言うなら、文章を朝露のような小銭に換えて糊口をしのいでいる身にも関わらず、無料の文章に時間を割いているのである。私淑している浅田次郎先生がお聞きになれば阿呆ここに極まれりとお嘆きになることだろう。

文章を売って生きるのが物書きである。その物書きが無料で文章を書くなど言語道断であるというようなことを浅田次郎先生がお書きになっていた。だから灘校を退職したタイミングでブログもメルマガもフェイスブックもすべて止めるかと考えた。熟考した結果、今はそのときではないと判断し、継続することにした。

命の火が消えれば書けなくなるのだから、その前の然るべきときに無料の文章からは撤退するのもいいかもしれないなと思っていたところ、似たようなことを内田樹先生もXでお書きになっているのを目にした。講演や対談はオンラインかあるいは先生のご自宅ならと書かれていて、似たようなことをお考えなんだなと思った。

朋友の作家、松永多佳倫は「なんで俺が無料で文章を書かなきゃならないんだよ」と言って大学院の論文を書かなかった。じゃあなんで入学したんだと作家以外の方々はお思いになるだろうが、私にはその矜持がうらやましかった。私などは自ら進んで無料で文章を書いているのだから、作家失格の烙印を押されてもしょうがない。

いろんな方々と触れ合えるメディアを持っておくのは悪くないので、きっとFacebookは続けることになるのだろうけれど、おそらく然るべき立場になれば、私のことだからすっぱりと無料の文章を書くのをやめるのだろう。それまではこれも研修とみなし、拙い文章を垂れ流すのも悪くはないと割り切ろう。

木村達哉

追記
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