12月8日。明日は徳島で講演である。徳島県といえば子どもの頃、年に一度だと思うが、母方の親戚が吉野川の近くの家に集まっていたのを思い出す。私も一度か二度参加したのだけれど、なにしろ人見知りの激しい子どもだったので馴染めなかった。知らない子らと吉野川で泳いだことだけは覚えている。あれは誰の家だったのだろう。なんの集まりだったのだろう。
長いこと徳島県を訪れていなかった私が頻繁に訪れるようになったのは、徳島北高校や脇町高校など、拙著を使っている高校からの講演依頼が相次いだからである。明石海峡大橋ができる前であれば躊躇していたかもしれないが、今となっては自宅から車で1時間半もあれば徳島県である。
徳島で思い出した。灘校の授業で「故郷を英語で紹介する」という授業を行ったときのこと。徳島から通ってきていた生徒に発表させたところ、Tokushima is famous for ramen.と話し出したのである。同じクラスに徳島から通っている生徒がもうひとりいたので、徳島ってラーメンなのかと聞いたら首を横に振る。
徳島から通っている生徒たちに聞くと、外国人に説明する価値のあるものが思いつかないと答えたので、みんなで徳島について考える時間となった。阿波踊りと答える者もいれば渦潮と答える者もいた。大塚国際美術館と答える者、鳴門金時と答える者、渋いところでは阿波尾鶏と答えた者もいた。それぞれを英語で説明するとなるとけっこうな語彙力が必要であるが、なかなか面白い授業になった。
ある生徒に木村先生にとって徳島とはと尋ねられたので「眉山」と答えたら、教室が静まり返った。さだまさしの小説『眉山』を読んでいないとわからなかったかもしれない。そんな徳島に明日は久しぶりに行く。朝早く起きて、妻とさくらも一緒に行くことになっている。帰りは淡路島で遊ぶ計画である。
木村達哉
追記
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