12月22日。約4500人の先生方が加入されているチームキムタツ。今日は九州の先生方による勉強会&大忘年会が行われ、博多へ移動した。県立長崎東高校の高濱先生、私立中村学園女子中学校高等学校の清水先生がそれぞれの指導や活動についてお話され、私を含む約40名の参加者が教育的知見を深めることができた。
私の演題は「哲学と教養」とした。感覚的にSNS(YouTubeやXなど)で垂れ流されている言葉を信じる無教養な人間が増えているのは先の兵庫県知事選を見なくてもわかる。学校では論理的思考の重要性を説く先生が多いけれども、では論理的思考力を身につける方法を教えているかというとさにあらず。
基礎づけと反基礎づけ、演繹的推論と帰納的推論、弁証法、認識論と存在論などの初歩的な思考法を紹介し、実際に先生方には「学校は必要か」という問いについて考えていただいた。方法を知っておくと生徒や保護者との面談や相談に活かすことができる。論をひっくり返す、演繹を使う、帰納を使う、存在意義を考える…さまざまな方法を知っておくべきだ。
九州の勉強会は参加者がそのまま懇親会にも移動するケースが多い。なかには「懇親会こそセミナー」とおっしゃる方々もおられる。セミナーでも懇親会でも、初参加の先生方が疎外感を抱かないように気を遣いつつ、みんながこの勉強会を大切にしようとされているのが嬉しかった。学ぶ場としては県が開催するものよりざっくばらんで、疑問点はその場で講師に聞けるうえに一緒に酒まで飲める。最高の研修機会だと自負している。
1月には山形で、2月では広島で、それぞれ同じような内容の哲学講座を行うことになっている。また、東京や大阪の先生方からは、こっちでもやってほしいという声が届いている。私は哲学者ではないので専門的なテクニカルタームを深く掘り下げるほどの知識はないのだけれど、ご指導にお役立ていただける程度には解説できる。
懇親会の二次会である先生が「哲学ってもっと堅苦しいのかと思っていたら、かなり身近なものなんですね」とおっしゃったが、そのとおりである。生まれた瞬間から死ぬまで、人間は哲学から切り離されない存在である。意識するかどうかだけの違いだが、意識すると生きやすくなるものだから、来年は各地で哲学の機会を提供しようと考えている。
木村達哉
追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を火木土の週3通無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。家庭や学校、会社での会話や、学校や塾の先生方は授業での余談にお使いください。