73回生が高２のときに専門学校に通いだしたんです。絵本作家になる！と言ってもね。絵が描けないですから。私、絵心のなさは世界でトップレベルを誇っております。ですから、よくある「絵 だれそれ、文 だれそれ」というパターンの絵本なら描けるかもしれませんが、絵も文もとなると、プロに教えてもらわないと無理です。

インターネットで調べて、通えそうな絵の専門学校を選びました。週に２～３日通えればいいかなぁと思っていたのですが、コロナがやってきて、昨年の春はまったく通えなくなりました。６月には通えるようになったのですが、今度は生徒たちの指導、特に教材作成がとてつもなく忙しくなってきて、結果的に（退職することは決めていましたので）2021年4月までは休学しようと決めました。

そしてこの火曜日、復学しました。

皆さんに「久しぶりです！」とご挨拶申し上げ、席に座り、本棚にある『絵本の作り方』を開いていますと先生が近づいてこられます。「元気？」「はい、学校を退職しました」「え？もうそんな年齢？」「いや、定年じゃなくて」「あぁ、そうなんや、そりゃおめでとうございます」なんていう会話をかわし、そのあとは絵本の作り方、この１年間の業界の変化、今後の取り組みについて、話し合いました。

グランマ・モーゼスは70歳を過ぎて画家になりましたからね。サントリーの鳥井さんじゃないですが、「やってみなはれ！やらなわからしまへんで！」ですよ。今後の自分の人生設計を話すと、先生は協力するから頑張ろうと言ってくださいました。おそらく年内に１冊目の絵本を出せると思います。

人生をじっと見る

大切なことは自分の人生をしっかりと心して見ることですね。私はそう考えています。そう生きてきました。時間に流されて生きるのではなくて。そして、わからないことがあれば、何度でも先人に尋ねることです。書物を繙いて。さらに大切なのは、そのうえで考えること。考えに考えていると、幾通りもの答えが見えてきます。幾通りもの見方があることがわかります。ネットでさらっと検索するような考え方や見方では気づけないことが、人生にはいっぱいあります。私は現時点では70歳の自分を見ながら、そこに向かって歩いていっています。何度も失敗はするでしょうけど、健康さえ維持できれば、おそらく大丈夫です。

木村達哉拝