1月6日。年賀状が毎日届くが、今日届いた数十枚のうち3通に、教員は今年で辞めて4月からは別の仕事をすると書かれてあった。お三方とも英語指導に熱心な先生で、セミナーに参加されるだけでなく、その後の懇親会でも真剣な表情で私に指導に関する質問をぶつけておられた方々なので驚いた。
昨年や一昨年も岡山や山形や広島の先生方がお辞めになり、ご自身で塾や会社を立ち上げられたり、完全に教育とは関係のない業種に移られたりということがあった。拘束時間が非常に長く、その割にはあまり給与が高くない学校が多い。
教員はやりがいがあるとは言うが、どの仕事だって同じぐらいやりがいはある。警察だって医師だって弁護士だって、もっと言うならパン屋だって居酒屋だってやりがいはある。人々の笑顔に触れ、ありがとうございますと言ってもらえる回数はもしかしたら教員よりずっと多いかもしれない。
長い人生を考えたとき、何歳まで働いて何歳まで給与を受け取るかはかなり大きい問題である。定年云々、退職金云々、給与云々と言うが、自分で事務所を立ち上げた私にはすでに定年などなく、働きたくないと思うようになるまでずっと働くことができる。そりゃ給料はもらえないが、努力すればするだけカネは入ってくる。その点で勤め人よりも努力の甲斐はある。
私の周囲には定年間際で退職した人が非常に多いが、決して類は友を呼ぶわけではなく、定年してからの人生を考えると比較的早い時期に自分の会社やオフィスを立ち上げたほうが、経済的リスクが少ないと考える人が多いのだろう。60歳を過ぎて給与を減額される人がいる一方、毎年1000万や2000万稼いでいる元教員もいるのだ。
国や自治体は現状に危機感を覚えるのであれば、システムを再考すべきである。いつまでやりがい搾取を続けるのか。能力が高い教員が「辞めたほうが得だな」と思う現状システムでは教員不足に陥るのも当然である。辞めたら損だと思わせる給与なり労働条件なりにしないと、たかだか採用試験の時期をずらす程度の改革では、とても改革とは呼べない。
木村達哉
追記
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