1月9日。山形空港に降り立った。年に一度のJALから降りると関西のそれとは違う寒さが私を包み込んだ。おぉと思わず声が出た。早くに着いたアルク植元君と新庄北高校の大竹先生が「お疲れ様でした」と迎えてくれた。毎年こうして新年は山形から始まる。
新庄北高校は新庄南高校と合併し、来年からは新庄志誠館高校として生まれ変わる。したがって毎年訪問している新庄北高校だが、同校を訪問するのはこれが最後ということになる。高1生と高2生の制服が違うのはそういう理由なのですと大竹先生が説明してくださった。
若い間は体力がある。カネが多少なくてもなんとかなる。親や先輩がカネを出してくれる。飯は黙っていても出てくる。ところが二十歳を過ぎると状況が変わっていく。カネがないと遊べないぐらいはなんということもないが、病気になってもまともな医療を受けることができない。カネがなければ自己投資もできない。スマホの更新もできない。
まさに「アリとキリギリス」である。今までネットやら部活動やらを楽しんできたキリギリスは、冬が来ると動けなくなる。特に若い間は自分をいかにして鍛えるか、つまりいかにアリになるかが大切だという話をした。
夜は保護者対象の講演がJR新庄駅の上にあるホールで行われた。内容を全部書くわけにはいかないが、要するに昭和時代の価値観で子どもにアドバイスをするとろくなことになりませんでという話をさせてもらった。終わってから何人かの保護者から質問を頂戴し、笑顔で別れた。
新庄北高校の生徒たちと保護者の方々には幸せに暮らしてもらいたいと願う。幸せに生きるのに知力と財力は大切な要素である。特に学校では財力について教えられることはあまりない。どういう人生を生きるのか、どれぐらいの年収をもらう人間になるのか、どういう老後を送るのか、それらは自分で決めることができるということを知ってもらえたのではないか。
木村達哉
追記
メールマガジン「KIMUTATSU JOURNAL」を火木土の週3通無料配信しています。読みたいという方はこちらからご登録ください。英語勉強法について、成績向上のメソッドについて、いろいろと書いています。家庭や学校、会社での会話や、学校や塾の先生方は授業での余談にお使いください。