1月15日。昔はこの日が成人の日だったなと思い返していた。今は「成人式」ではなく「二十歳の集い」という名称になったらしいが、高3で成人の日(誕生日)を迎えているのに二十歳で晴れ着を着るのはなんだか変なもんだなと思う。受験があるから十八歳で式典を開かないのかもしれないが、そのうちこの時間差は訂正されるのだろうか。
ついでに言えば、酒を飲むのも二十歳なのは変わらない。といってもきょうびの若い人はあまり酒を飲まないらしい。私のセミナーでもそうだ。乾杯はビールかウーロン茶というルールがあるお店以外が懇親会会場になると、1杯目になんとかサワーというノンアルを頼む人が増えた。ましてや熱燗だの泡盛ロックだのを頼んでいるのはおっさんたちばかりである。
灘校の親会社は菊正宗酒造や白鶴酒造である。その関係で、酒をみんなが飲まなくなったら灘校より先に親会社が倒産するのじゃないかと気を揉んだことがある。社長(灘校理事長)に聞いてみると海外では日本酒が人気だそうだ。日本で仮に日本酒ブームが起こっても、アメリカやヨーロッパの人口の比ではない。そういえばsakeはすでに英語である。
私が若い頃は二十歳になる前から飲むことが、今では信じられないかもしれないが、社会的に許容されていたように思う。家では父親が息子に「もう高校生なんだからビールぐらい飲んでみろ」と言ったり、大学1年生に先輩が「大学に入れば飲むのは当たり前だ」と酒を強要したり。
悪い面はあったのは認めるにしても、比較的早いうちから大人になれた気がしたし、かなり年上の人生の先輩から教えを受ける機会が多かったのはよかったように思う。今の人たちはそういう機会そのものが「ウゼェ」と思うのかもしれないが、教えてもらわないとわからないことだってたくさんある。自分で学べることや同年代で教え合えることばかりではないのだ。
ある大企業の方から最近の若い社員は二次会に来ないとお聞きした。別の企業の方は、飲み会そのものがなくなったと教えてくださった。時代といえば時代なのだろう。ただ、日本だけでなくニューヨークやロンドンで昼も夜もビールを飲みながら談笑しているスーツ姿のビジネスマンたちを見た身としては、せめて酒を飲む場を拒否しないでいてほしいなと、飲まなくてもいいからそういう場所に顔を出す人であってほしいなと、若い人たちには「ウゼェ」と思われるかもしれないが、おじさんは思うのである。
木村達哉
追記
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