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レインツリーの国

出版社 角川文庫
著者 有川浩

『阪急電車』で有名な有川さんの作品です。甲子園駅前のダイエー(現在はコロワ甲子園)に入っていた書店さんで本を漁っていたときに、レジ横のカゴの中で乱雑に放り込まれた文庫たちの中からすくい上げたのがこの本との出会いでした。読み始めた当初は買ったことを後悔しました。なにしろ主人公の伸はあるサイトで女の子と知り合い、彼女からメールが来るとドギマギし、メールがないとイライラするという、まぁ言ってみればどこにでもありそうなベタ甘のライトノベルかなぁと感じたからです。ところが2人が思い切って会った場面からプロットの流れが変わってきました。その後は書きませんので、読んで楽しんでください。身体の不自由な人に対する思いが変わります。

本を読んだほうがいいのはわかるが何を読んでいいのかわからないという人にちょくちょくお会いします。でも、そういう姿勢だと「自分の本」には出合えないんです。たとえば、世界的名作と言われる本であっても自分にとっては駄作に過ぎなかったということもあるわけで、それは本や著者と自分とのリズムが合わなかったということなんですね。村上春樹の本は世界中で読まれていますが、彼の本は文字が追えないという人もかなりたくさんいらっしゃるんです。

「レジ横のカゴに入っていた本をすくいあげた」という出逢いではあったのですが、最終的には心を震わせることになった本書を心から推薦します。こういう出逢いがあるから書店巡りはやめられないんです。「いい本はありませんか」と人に聞くのもいいのですが、自分で探しに書店さんを散歩するのを習慣にしてもらえれば、素敵な「自分の本」に出逢えることでしょう。