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僕の死に方

出版社 小学館文庫
著者 金子哲雄

金子さんは2012年10月2日に肺カルチノイドという難病でお亡くなりになって約10年。この本が出版されたのが11月27日ですから、彼がどれぐらい周到に出版の、そして死の、準備をしてきたかがわかります。

伝記でセレブリティ―の生き方を学ぶことはできますが、死ぬまでのプロセスを学ぶことは稀なうえに、テレビで活躍しておられた方による死に方、あるいは末期ガンを迎えた患者に対する医療の実際などを学べる書物は、ほとんど本書をおいてないのではないでしょうか。

何よりもある日突然「末期ガンです」と宣告された著者が、そして治療法がないと病院からさじを投げられた著者が、どういう思いで一生懸命の生を生きたかが手に取るようにわかります。

以前、福島の前川直哉先生と話していて「末期ガンの患者に接している人に聞くと、亡くなる人たちの大半が『こんなことならもっとワガママに生きておくんだった』と嘆くそうですよ」と聞かされました。

他人に迷惑をかけてはいけませんが、しかしこういうことをしたいなと思っていることを達成せずに、ましてトライさえせずに、組織のために一生懸命働き、自分のためにやりたいことを犠牲にしたまま旅立つのはまっぴらごめんだという思いを強くしました。まして自分の怠惰が原因で達成できなかったとしたら、きっと死んでも死にきれないと思います。お勧めの一冊です。