出版社 | 扶桑社 |
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著者 | 松永多佳倫 |
門田博光、江夏豊、田尾安志、谷沢健一、広岡達朗…私の少年時代は、現在のプロ野球選手とは違い、コーチの言うことを聞かずに一家言を貫いたレジェンドとも言える選手や監督たちがいました。彼らは監督やフロントとぶつかり、球団を追い出されることになる男たちでもあったのですが、ファンの立場からすれば言葉では言い表せないほどの魅力を持った、文字どおりのプロだったのです。
先日、門田さんがお亡くなりになって、非常に寂しい思いをしていました。高校生のとき、大阪球場に阪急対南海の試合を放課後の補習を抜け出して観に行きました。観客数を数えると19名。翌日の新聞には観客6000人と書かれていましたが、私は球場にいたのですから間違いありません。そんな少人数のなかで、門田や藤原、加藤や福本といった超一流の選手たちが、観客席からの野次をものともせず、堂々とプレーしていました。HRを打った門田がベンチに戻る際、ベンチの上にいた私と友人に「来てくれてありがとうな」と声をかけてくれたことは忘れられません。
プロ野球ファンならぜひ一度、ページを開いてください。門田と野村、田尾とオーナーなどの確執がドラマチックに描かれています。門田と掛布のトレード話が実現直前まで進んでいた裏話もふんだんに含まれています。そして、私が親しくしている多佳倫さんの想いを「あとがき」から読み取っていただければ幸甚の至りです。よろしくお願いいたします。