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見上げれば青い空

出版社 イー・ピックス
著者 村上 美保子

2024年1月1日、能登半島を巨大地震が襲いました。津波が来る!早く逃げて!と叫ぶNHKアナウンサー。ところが彼女に対して言い様が厳し過ぎるというコメントをSNSに書き込んだ人たちがいたそうです。そういったところに東日本大震災の風化を感じずにはいられません。この場所は高台だから大丈夫だろうと高を括って逃げずにお亡くなりになった方々がどれだけいらっしゃったかが報じられたのはもう10年以上前。忘れてはならない歴史を私たちはどんどん忘れていきます。

2011年3月11日、東日本を大地震が、そして大津波が襲いました。極めて多くの方々がお亡くなりになり、今も後遺症に苦しんでおられる方々が何万人もおられます。本書は福島県新地町で旅館を経営しておられた女将さんが、当時のことを思い出し、苦しみながら書かれた本です。本書を読むと、生き残った地獄に苦しまれたことが手に取るようにわかります。

自宅が「がれき」と呼ばれる苦しさ、配給を遠慮して取りに行かないと陰口を叩かれる避難所…おそらく読んでいるうちにこみあげてくるものがあるはずです。僕は涙が止まりませんでした。メディアでは取り上げられることのない、被災者の「実際」を知ってもらいたくて、そして決して風化させてはならないものを皆さんに感じてほしくて、紹介しました。ぜひご一読ください。

木村達哉