出版社 | 幻冬舎文庫 |
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著者 | 村上世彰 |
著者の村上世彰さんは投資家として有名です。灘校の卒業生ですが、世間的にはダーティーなイメージを持たれている人です。おそらくそれは阪神電鉄の大株主としてモノを言い、阪急から阪神へのTOBが発表されなければ村上タイガースになっていたのではないかと言われた時期があったからかもしれません。彼はその後、ニッポン放送株のインサイダー取引疑惑で逮捕され、そして起訴されることになります。詳細は割愛するとして、日本人にとっては珍しくお金のことをはっきりと声に出して語り、したがってあまり好印象を持たれていない人だと言っていいでしょう。
しかし、本書の中で彼が言っている「人生においてお金は非常に重要な要素なのに、ほとんどの学校でお金について教えないし、お金が欲しくてたまらない人がお金で人生を台無しにしてしまう」というのは間違いないと思っています。私は生徒たちに、6年間の最後の授業でお金について話をしましたが、医者であれ弁護士であれ何の職業であれ、ひとつの職場で地道に働いているだけではそれなりのお金しか手にすることができません。もちろん「それなり」でもまったく問題はないのですが、それだと自分や家族のことで精一杯で、誰かのためにお金を使える状態にはなりません。本来的にはもっと自由に使えるお金を手にして、そして困っている人たちのために自分の時間とお金を使うべきだと思っているのです。
もしかしたら皆さんのなかには、お金がほしくてたまらない病気にかかっている人がいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながらお金はそういう状態では決して増えません。学校では教えないことなので、大人も子どももお金についてあまり知識がありません。少しだけお金について考えてみるのもいいんじゃないかなと思い、この本を推薦しました。決して金儲けの方法が書いてあるわけではありません。お金に関してどういう姿勢でいなければならないのかが書かれています。